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代表者挨拶



年頭所感「いつまで先行きは不透明と言い続けますか」

山田厚志

先行き不透明ですね

建設業界の人と出会うと、相手から必ずこのセリフが出できます。本当に「先行きは不透明」でしょうか。こんなことを言い合って、ただ漫然と不安がっているだけではないでしょうか。そもそも今まで真剣に対策を講ずることもなく、せいぜい神頼みか議員頼みが関の山でした。その議員頼みがアダになったのが先の国政選挙でしたから、万策尽きました。この際、はっきりさせましょう。先行きは不透明ではありません、公共事業に依存する私たち建設業界の先行きは「暗い」のです。「不透明」などとお茶を濁して、打つべき手を先延ばしにしていてはいけません。自社の存亡だけではなく、このままでは日本の公共事業の衰退は確実です。

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まちづくり業のプロとして

ではどうするのか。

大手ゼネコンや技術力を誇る会社ではない地域に根差す私たちのような中小建設業者の生き残る道は?

まず、現行タイプの仕事は確実に5割に減るでしょう。意識としては「5割減る」と悲観せずに「5割残る」仕事を狙うことです。そのための戦力はなんとしても維持・温存せねばなりません。言うまでもなく「残りの5割の仕事を取る」とは、時の政権が半分にしたがっている建設業者の一員に残ることを意味します。

次に、地域由来の新しい形の公共建設市場を創り出す側、「川上」側にポジション取りをする姿勢が必要です。従来までの「請負」に徹するのではなく、「まちづくり業のプロ」としてのノウハウを生かして企画・立案にも積極的に関わる姿勢です。

私の考える都市型の新しい公共建設市場の代表例は、「都市内環境整備」と「防災支援」と「食と農の自作自給促進」です。それ以外にも今後続々と生まれてくるでしょうが、まずは今挙げた3つがイメージしやすいでしょう。

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公共空間の再配分・再整備

「都市内環境整備」とは、「公共空間の再配分・再整備」のことです。私の暮らす名古屋市のような都市では道路や上下水道など社会インフラが一定の水準まで整備されました。今後は既存インフラの維持管理へと軸足が移ることは指摘されてきたことです。

ポイントは単なる維持管理ではなく、「環境共生型インフラへのシフト」が維持管理と並行して実施されるという点です。 CO2削減25%に代表される脱温暖化・低炭素社会の実現のためには、たとえば「都市内の公共住宅や緑地・農地の移動・集約・創出」とか「歩車道の幅員の逆転」など公共空間の再配分・再整備が必要不可欠になります。
これらはすべて地元土木業者の市場です。したがって私たち地元建設業者や業界は、こうした都市内公共空間の「改築ニーズ」を積極的に支持するムーブメントを起こさなくてはいけません。そのためには行政と連携して市民に直接訴えかける環境イベントや講座の開講、出前授業などの企画・実施が求められます。それを私はすでに始めました。

写真1
ドイツ・カールスルーエ市の中心市街地の様子。
自動車の姿は皆無で、人と路面電車と自転車が主人公


写真2
名古屋市の中心市街地の様子
自動車のための街づくりから人のための街づくりへと、公共空間の再配分・再整備が必ず始まる

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最も取り組みやすい防災支援

「防災支援」とは、パイプラインの耐震化や防災備蓄倉庫の建設、貯水施設の整備、災害時用の各種公共施設の建設などのことで、いずれも私たち建設業者の仕事です。

従来、公共事業としての防災対策はこうしたいわゆる「公助」の部分に特化していました。あとは災害発生後の復旧対策が私たちの市場ですから、「ぼちぼち水害は来ないか」などという不謹慎な願望が建設業者には生まれたりします。

しかし、発生が確実視されている東海・東南海地震のような大規模災害には、公助をいくら整えても太刀打ちができません。今後は、いわゆる「共助」の部分、すなわち地域防災力のアップに注力する施策が新たな防災支援策として生まれてくるはずです。

具体的には「地域防災訓練」などの企画立案・実施といった事業であり、もっぱら受け皿は市民NPO団体となりますが、私たち建設業者が持てる強みを発揮できる市場でもあります。こうしたソフト事業に投入する費用が抑止する災害被害は、結果として従来までのハード対策に比して遥かにコストパフォーマンスが高いことが予想されます。
私の会社では昨年まで5年連続で地域の「防災大会」を企画・実施してきました。お蔭さまで昨年末には「中部の未来創造大賞・特別賞」を受賞しました。人と重機を駆使する地元建設業者らしい取り組みが評価されたものと思います。

写真3-4
昨年の「地域防災大会」の一こま
地域の人が5人一組となって、さまざまな防災体験を行う、題して「防災アドベンチャーパーク」を企画・実施

写真5-6
もちろん、山田組は地域の皆さんの前で自社の強みをアピール
河村たかし名古屋市長も駆けつけてくれました

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食料安全保障への回答

 「食と農の自作・自給促進」とは、都市に住む人々が自ら農作物を作り、それを食料とするライフスタイルの実現支援を意味します。例えば行政が都市内各所に「市民農園」を開園しようと考えれば、その造成・給排水工事、外構工事などは新しい「都市型公共事業」として私たちの市場となります。

それだけではありません。開園した市民農園を一括管理・運営するノウハウを、建設現場で地域住民と折り合いをつけながら仕事を遂行する現場代理人は持ち合わせています。カナダなどに先行事例がある「コミュニティ・ガーデン」のような取り組みは、農体験を通じた地域力の再生事業として今後、注目を集めるはずです。

新しい都市型公共事業としての市民農園は、私の試算では名古屋市内だけでイニシャル・ランニング含めて10年間で60億円前後の市場創出が見込まれます。

しかも単なる趣味の農作業支援の域を超えて、将来ありうる農作物の輸入が止まる事態を想定すれば、私たちの保有する重機のアタッチメントを農器具に変えて、道路・公園・校庭などを耕すことで一時的な農作物の自給も不可能ではありません。

「食の安全保障に寄与する地元建設業」、こんなセールスポイントは、あながち夢ではないはずです。それが証拠に国土交通省の「建設業と地域の元気回復事業」の一つとして、私が関わった「都市型農建連携(アグリ)事業」が採択され、平成23年2月までにわたって市と市民と協働して市民農園の造成・運営を試行します。
写真7
(社)名古屋建設業協会が来春試行する市民農園の整備の一こま

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先行きは不透明なんかじゃない

 こうして少し見てみるだけで、「新しい形の都市型の公共事業」の先行きは「明るい」と思うのですが、いかがでしょうか。失う5割を補って余りある潜在的な「まちづくり市場」が目の前に広がっているように感じる私は、単なる夢想家でしょうか。

無論、私自身はそうは思いません。こうした潜在市場を行政や市民に積極的に提案し、一つ一つ具体的な取り組みとして展開していくことは、自社の将来を自ら確かなものにしていく取り組みだと信じているのです。キーワードは「自ら切り開く」です。

「受け身にならず、自社を取り巻く状況は自ら創り出す」こと。かつて地元建設業界が最も苦手としたこのテーマに、また今年一年、私はじっくりと取り組んでいこうと心に決めています。

先行きは、決して暗くはないのです。(了)

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