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保有工法



TAACS 河川環境創造に役立つシミュレーションソフトウェア

研究開発スタッフ: 呉 農 / 呂 福禄

TAACSとは?

TAACSは多自然河川(TA shizen kasenn)へのアプローチ(ApproaCh)システム (System)の略称で、コンピュータ内部にさまざまな数値解析モデルによって構成される仮想自然環境を構築し、出 力情報の内容としての土木系、水質系、生態系、景観系および経済系の予測を行う河川環境シミュレーショ ン装置に関するソフトウェアです。

1.開発背景

1.河川改修の問題 
 周知のように中小河川、特に都市および周辺の中小河川は、急速な土地開発、治水対策などにより都市排水路としての役割が強くなっています。小さな曲折は矯正して直線化され、河床はブルドーザーで均されて平らになり、おおむね、傾斜あるいは垂直のきついコンクリートおよび矢板の2面張り護岸に固められています。このような改修によって、以下のような問題が発生しつつあります。
(1)河川形態の単調化
 河川改修などで川幅が拡大されたり、直線化されたりした結果、 砂洲の形態が変化したり、移動しやすくなり、淵と瀬が形成しにくくなっています。
(図1-1)
 本来、瀬は魚類にとって餌料の供給場所や産卵場所であり、淵は休憩場所や避難場所となっています。また、瀬と淵は空気を水中に取り込み、水中の汚濁物質を沈殿させます。そして水際部の土や礫は微生物の動きを促進するなど、河川の自浄作用を向上させるうえでも大きな役割を果たしています。
(図1−2)

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(2)河床の平坦化
 河道拡幅、直線化、またブルドーザーでならされて平らになったことによる河床の平坦化は、平常水深の減少と流速の低下に伴う水質変化と水温変化によって、魚類をはじめ、さまざまな水生生物や水際周辺の生態系に大きな変化を及ぼしています。
(3)親水性の自然河岸の喪失
 コンクリートや矢板の2面張り護岸工事などによって、親水性の自然河岸が消失してしまいました。
(図1-3)
 水際を覆う草が消失した結果、 多くの水棲昆虫やトンボ、蝶類、コガネムシなどの甲虫類、そしてザリガニなどの甲殻類も激減しました。また鳥類は、採餌や休憩の場所である河岸の大きな変化によって、姿を消してしまいました。
(4)水質の汚濁
 生活雑排水の河川への流入に加えて、コンクリートと矢板護岸などの治水対策による流況や水辺環境の単調化、それに伴う生物相の貧弱化によって、河川の重要な自然自浄作用が低下しています。
 列記したような問題が発生する根本原因は、治水と利水の対策や工事を実施すると同時に、河川環境に対する影響と保全の措置が図られない点にあります。
 本来、河川にはその河川の各場所にも流域全体にもそれぞれの環境個性があり、その環境下で人間も含めてさまざまな生物が共生・共存しています。従来軽視されがちであったこの共生・共存を実践するためには、闇雲に河川工事に着手するのではなく、対象となる河川の現況分析、 改修工事後の自然や生物への影響、及び改修された河川環境の経年変化などをあらかじめシミュレーション検討する手法の開発と普及が不可欠です。

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2.工事規模の問題 
 大規模な河川改修工事には、当然時間がかかります。資源、エネルギーおよびコストの大量消費も必至であり、さらに、これに伴う重い環境負荷は不可避です。したがって、河川工事において環境負荷を減少させ る手段として、工事の規模を出来るだけ縮小することも重要であり、そのためには、現状の自然環境とその 循環を保ちつつ、「治水」や「利水」を実現するために必要な河川工事規模を緻密にシミュレーション検討 できる手法が確立されなければなりません。
3.水理実験の問題 
従来、上記のような目的を想定した河川改修工事の効果の予測に は、さまざまな水理実験が行われてきましたが、その欠点は下の通りです(図1−4)。
(1)予測結果が測定できるまでに多大な時間がかかる
実験模型の製作、実験の実施はかなり長い時間が必要です。
(2)予測条件の変更に対する対応性が低い
一旦、実験模型を完成させたら、さまざまな予測条件を想定した装置の変更に手間がかかります。
(3)資源、エネルギーおよびコストが多大
大きな試験装置を作るためには、大量の資源、エネルギーおよびコストがかかります。その上、再利用しにくいという問題点もあります。

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